ぼくが半沢直樹を気に入っているのは、
相手から論や策で追い詰められたときに、
従来のテレビドラマとかなら「なんだとコノヤロ」的にブチキレ、
机を叩いたり、モノを投げはじめたりして視聴者ドン引き、みたいになるところで、
半沢はキレないところです。
論に対して論で返す。どこまでも論と策で相手を追い詰め、息の根をとめる。
やられても、同じ手ではやり返さない。同害報復じゃない。
殴られたら殴り返すでは、ただのガキのやることです。
アタマとことばと心で、悪いやつらに立ち向かう。それがいいねです。
半沢と敵方のやりとりをじっと聴いていると、
「あ、ここまで言われたらぼくなら即キレるな」というキレポイントに気づきました。
だけど、そこで半沢は、言葉を発することをやめずに、続けました。びっくりしましたね。
で、同時に、
ぼくのキレポイントはまだまだ早すぎる、ということにも気づかされました。
ことばと論理を、良い意味でもっと信頼して、とことんまで考え抜くことができれば、
キレたり怒鳴ったり恫喝したりしなくて済む。
半沢(を生んだ作者)のアタマの良さに、
おおげさに言えば「平和」の可能性が見えたような気持ちになりました。
オバマさんのシリア攻撃延期、よかった。最近のプーチンさん嫌いではないです。
「話せば分かる」を楽観視できると思っているわけでもないのですが、
もっとアタマ使おうぜ、と半沢の作者(池井戸潤さん)から言われているような気がしています。