2013年9月13日金曜日

半沢直樹の「倍返し」が面白いのは、それが同害報復ではないところです


ぼくが半沢直樹を気に入っているのは、

相手から論や策で追い詰められたときに、

従来のテレビドラマとかなら「なんだとコノヤロ」的にブチキレ、

机を叩いたり、モノを投げはじめたりして視聴者ドン引き、みたいになるところで、

半沢はキレないところです。

論に対して論で返す。どこまでも論と策で相手を追い詰め、息の根をとめる。

やられても、同じ手ではやり返さない。同害報復じゃない。

殴られたら殴り返すでは、ただのガキのやることです。

アタマとことばと心で、悪いやつらに立ち向かう。それがいいねです。

半沢と敵方のやりとりをじっと聴いていると、

「あ、ここまで言われたらぼくなら即キレるな」というキレポイントに気づきました。

だけど、そこで半沢は、言葉を発することをやめずに、続けました。びっくりしましたね。

で、同時に、

ぼくのキレポイントはまだまだ早すぎる、ということにも気づかされました。

ことばと論理を、良い意味でもっと信頼して、とことんまで考え抜くことができれば、

キレたり怒鳴ったり恫喝したりしなくて済む。

半沢(を生んだ作者)のアタマの良さに、

おおげさに言えば「平和」の可能性が見えたような気持ちになりました。

オバマさんのシリア攻撃延期、よかった。最近のプーチンさん嫌いではないです。

「話せば分かる」を楽観視できると思っているわけでもないのですが、

もっとアタマ使おうぜ、と半沢の作者(池井戸潤さん)から言われているような気がしています。