「受容史」は端的に面白い。組織神学において私が知っている先行例は、カール・バルトの神学が、たとえばオランダの教会に、あるいは南アフリカの教会に、日本の教会にどのような経緯で受容されたかを追っていくものである。改革派神学のアメリカ教会への受容の歴史を追ったものも、何冊か持っている。
「受容史」の研究には、思想の内容だけでなく、それを持ち運んだ形式である「本」の現物を見たり触ったりすることが不可欠だ。「こんなぼろっちい紙が使われていたのか」とか「こういう読みづらい活字や字体が使われていたのか」とか、読者がどういう反応をしてどういう書き込みをしたのかは興味大だ。
(左)勝田守一・玉井茂訳(1938年)、(右)生松敬三訳(1978年) |