もうずいぶん古い本になってしまった。
選挙のたびに読み返したくなるのは、筑紫哲也編『〈政治参加〉する7つの方法』(講談社現代新書、2001年)だ。
一冊まるまる読み返すわけではない。本書の編者である筑紫さん自身が書いた「プロローグ」の中の、わずか数行の文章を見に行くだけだ。そこにはこう書いている。
「一言で言えば、これ〔=民主主義。ー関口〕は『不愉快な制度』なのである。教育水準が上がり、個人として行動する自由が拡がり、自我が育っていけばいくほど、その自分が投票所に出かけていくと他の有象無象(と、それぞれの「自分」には思える)と同様に『ただの一票』にすぎない、という“屈辱”を覚悟しなくてはならない。しかも、その『一票』は、何十万、何百万もの票の中の一滴でしかない、という自分の『小さな存在』を思い知らされる機会でもある...」(20ページ)。
おお、もう12年前になるのか。本書が発売されてすぐに買い、冒頭の「プロローグ」のこの文章に首肯せざるをえなかった。
「そんなこと知ってらあ」と思わず叫びたくなる、このわたしという存在の耐えられない軽さを否が応でも思い知らされる、不愉快極まりない場所、それが「投票所」ということか。
あー、不愉快だ、不愉快だ。そろそろ選挙いこ。