2011年7月2日土曜日

「意味を問うてはならない」と言いたいのではない

「これは神の御心なのか」。この問いを避け通す説教者は、不誠実だと言われても仕方がないかもしれない。

なぜなら、「牧師ならば、説教者ならば、この問いには当然答えてくれるだろう」と答えを待っている(と思われる)人がいる。また、「これには意味がある」と言って無理やりこじつけた「意味」を語る説教者の言葉に傷ついたり悩んだりしている人がいることも、分かっていた。だから、いつかきちんと決着をつける必要があるとは思っていた。

「これは偶然である」と考えるからといって、「意味を問うてはならない」と言いたいのではない。そんなふうに禁じられても、問う人は問うし、答えが欲しい人は答えが欲しいのだ。その気持ちを理解することが必要だ、という話ならばよく分かる。その問い方は、生きている場所や位置にも当然関係しているだろう。

いま気になっていることは、直接被災地にいない人々のこと、あるいは事実上何の対応もできない(または「できなかった」)人たちのことだったりする。被災地で苦しんでいる人のことを気にしていないという意味ではないが、被災地のために何もできない(または「できなかった」)ということを気に病んでいる人たちのこと、あるいは、早くも記憶から消えそうになっていることを気に病んでいる人たちのことが気がかりなのだ。

かなり自戒をこめていえば、こういうときに「行動あるのみ。現地に行くのみ。現場にこそイエスは赴かれる」という信仰に突き動かされて「動ける」人と、必ずしもそうでない人がいる。 私は4月18日から20日まで宮城県内の被災地・被災教会のお見舞いに行くことができたが、委員会活動であるという「意味づけ」があったからだということを否定できない。

生まれ故郷であるとか、親戚や友人がいるとか、一度でも行ったことがあるとか、なんらかの思い出があるとか、その他どんなことでもいいから自分自身との関連性ないし連関が見出せることであるならともかく、そうでない場合は「意味」を持続しにくいと感じる人は少なくないと思うのだ(いま書いたことは私自身のことではない)。

あとはやや言いにくいことだが、「毎月11日に祈ろう」、「半年後の9月11日が日曜日なので何かしよう」、「毎年3月11日に何かしよう」というふうに、「11日」ということに意味づけを図ろうとする人たちがいる。「そういうのが全部駄目とは申しませんが、教会のやり方としてはあまりにも俗っぽ過ぎませんか」と、私はある委員会で発言した。そのことも公開しておくことにしよう。

私がつい「あちらも、こちらも」両方立てようとするのは、なんだかドラマのセリフみたいだが、「もうだれも教会からいなくなって欲しくない!」と、いつも思っているからだろう。20年も牧師やっていると、いろんな人を傷つけ、失ってきた。反省、反省。

牧師や長老や教会全体に文句があって、なんだかんだ、いろいろと噛みついてきても構わないから(「構わない」は「スルーする」の意味ではない)、とにかく教会にとどまってほしいのだ。

しかし、「教会にとどまる」は「毎週日曜日の礼拝に出てこい。出てこない奴は去れ」という意味ではない。「教会の礼拝や諸集会のアタマ数や献金の口数や金額が少なくなってもらっては困る」という意味でもない。私に限っては、それはありえない。そんな要求をするくらいなら、パウロの言葉を借りれば「死んだ方がまし」(新約聖書 コリントの信徒への手紙一9・15)だと本気で思う。

そんなことではなくて、表現するのが難しいのだが、「あなたには教会が必要です」という感じのことが言いたいのだ。

そう、古いネタで申し訳ないが、むかし中村雅俊さんが歌っていた「人はみな、ひとりでは生きてゆけないものだから」みたいなことだと思う。いまググったら、あの歌のタイトル、「ふれあい」というそうだ、初めて知った。

「ひとりで信仰を保つのは無理ですよ」みたいなことが言いたい。「信仰者には信仰共同体が必要です」と言いたいんだと思う、たぶん私はね。

ちなみに、こんなことを書きながら思い出していることは、もう完全にうろ覚えの状態だが、美少女戦士セーラームーン(古いね)の最終話みたいな状況の中で主人公の月野うさぎが「もうだれも死なせない。私が世界を守る!」みたいなことを言ったセリフだったりする。

私はね、上手な言い方をすれば「守備範囲が広い」人間なのだ。セーラームーンは、子どもたちと一緒に観た。おじゃ魔女ドレミとかもね。「オタク目線」ではなくて「親目線」でね。

と書いているうちに、もう見つかってしまった。インターネット恐るべし。 子どもたちと一緒に観たのは、どうやらこれだ。土曜日なのに、久しぶりに見入ってしまった。正確に書けば、「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」のラスト10分間くらいのクライマックスシーンだ。

主人公が言ったのは、「みんなは私が守ってみせる!」(1:05)、「お願い、銀水晶!もっと私に力を貸して!みんなを守れる力を!だれもひとりにしない力!」(1:22)、「もう、だれもひとりにしない!」(3:48)だった。

これ、何度観ても泣けますね。いやマジで。