カレンバッハ版『ファン・ルーラー神学論文集』全6巻 |
ふと思い出した。ファン・ルーラーは日本で全く知られていないので「ファン・ルーラー研究会」という名前より「オランダ改革派神学研究会」のほうがいいのではないかと何人くらいだったかから言われたことがある。それで仲間と相談して「これからもファン・ルーラー研究会で行こう」という話になった。
そのとき私が考えたのは、他の神学者の研究会が必要であれば別に作ればいいし、間口を広くしすぎるとすでに著名な神学者の影響力に引っ張られてしまうだろうということだ。ファン・ルーラーをオランダ語から日本語に訳す。これくらいハードルを高くしておけばなかなか追随者は現れないだろうと思った。
競争したかったわけではなく、むしろ正反対で、全く競争したくなかった。競争になるようなことからは手を引こうと思った。ありがたかったのは、研究会の仲間たちの性格がどなたも温厚で、競争が嫌いで、のんびりしている方々ばかりだったことだ。生き馬の目を抜くようなタイプの人はだれもいなかった。
「ファン・ルーラー研究会」は2014年に解散したので今さらどうしたいわけでもない。当時は日本キリスト改革派教会の教師だったが、今は日本基督教団の教師である。しかしまさか日本基督教団をどうしたいわけでもないし、無力感しかないし、事実無力である。何も考えていないというのが最も近い。
しかしファン・ルーラーを読むことはこれからも続けるつもりである。いちばん励まされるし、面白くて元気が出てくるし、いろいろ考えさせられる。教団の違いを十分超えうる汎用性も順応性もある。ファン・ルーラーの神学思想の土台は三位一体論にあるので、彼の神学と無関係なキリスト教はないはずだ。