石ノ森章太郎『サイボーグ009』豪華版(全23巻) |
豪華版にしたのは、老眼にやさしそうだったのと、古いのを捨てるためのつもりだったが、サイボーグ009マニアの人たちのサイトなど読んでいるうちに、古い版のものがすごい高値で取引されているらしいと知り、捨てるのが急にもったいなくなって、そっちも集めようかなという思いが浮かんできた次第。
マニアでもない私が009のことを書くなどおこがましいかぎりだが、今こそ読み直されるべきマンガだと思う。原子力開発、ロボット、サイボーグ、ドローン、クローンなどなどの問題を網羅。描かれるツールやマシン(電話とか車とか)のデザインはレトロそのものだが、かえって斬新でおしゃれでもある。
手塚治虫と並び称される石ノ森章太郎先生だが、私は実は手塚のマンガが昔から苦手。どれも共感できたためしがないし、単純に面白いと感じられない。石ノ森先生のマンガはどれもこれも面白い。すべて私の主観だけで言わせていただけば、石ノ森先生のマンガにはハズレがない。手塚のマンガは(以下略)。
100%私の主観だが、どこが最も大きな相違点だと感じるのだろうと、こんなの初めて考えたことだが。それで思い至ったのは、石ノ森先生はどの戦いにも悲哀を描き、どの主人公も心であるいは実際に涙を流しながら敵を倒すこと。手塚はそうでない気がする、とか書くと手塚ファンから叱られるだろうか。
たしか私が高校か大学の頃から、手塚とか石ノ森先生とか松本零士さんとかのマンガの大きなサイズのハードカバー本が出るようになって、「マンガのくせになんでこんなエラそうなの?」(失礼!)みたいなことを感じていた。でも、今やっと豪華本の意味が分かった。読みやすい!永久保存版!すばらしい!