2015年5月22日金曜日

ツイッターで説教原稿を改善する方法

「枠内に字を書き、切り取り、メモ帳に貼り付けていく」の図
こんなの書くとたぶん多くの方に笑われるか怒られるかするだけだと思うが、教会の牧師たちの説教を良くするために役立ちそうな方法のひとつとして、ツイッターを活用することに可能性があるのではないかと昨夜しきりと考えていた。ポイントは「1ツイート140字」というツイッター固有の字数制限だ。

説教原稿を万年筆かボールペンかシャーペンで書いている牧師たちはスルーしてほしい。全く無関係な話をする。私のしていることを他の方々に押し付ける意図は皆無だが、パソコンのワープロで説教原稿を書いている私は、一回の説教の字数を「40字×40行×3頁=4800字以内」に自主制限している。

しかも、「40字×40行×3頁=4800字以内」の中に、説教タイトル、聖書個所、署名(関口康)、そして説教のための聖書テキスト(新共同訳)の全文引用、さらに日付、場所まで含めている。つまり私の言葉の部分はもっと少ない。たとえば5月17日の説教の私の言葉の部分は約4200字だった。

「4200字だって?」この数にピンと来る方はネット界隈にはきっと多い。1ツイートの「140字」で割り切れる。きっかり30ツイート分。もっと長い牧師はいるが、私の日曜日の説教は「30ツイート」である。これを少し噛み砕きながら私が読むと、聖書朗読と説教を合わせてちょうど30分になる。

30ツイートだなんて書き始めればわけもない、とお思いの方は多いだろう。ただしそれは炎上しなければの話。連続ツイートの途中を抜かれ、前後の文脈から切り離されて「こんなことを言いやがった」と晒しリツイートされることがなく、平穏無事に30ツイートを連続して書き終えることができればの話。

それとよく似たことが、牧師たちの説教にも起こる。礼拝中、とくに牧師の説教が始まるや否や、睡眠時間が始まり、ほぼ説教の終わりまでいびきの爆音さえ会堂内に響かせていたような人が、全く説教を聴いていなかったかといえばそうでもない。興味ある部分、琴線に触れる部分だけはちゃんと聴いている。

そして、場合によっては説教後に牧師に近づき、今の説教の評価をしてくださる。牧師たちは大いに歓迎すべきだ。ただ、牧師たちはその場合「前後の文脈がある話なので、そこだけ抜かれても困るんだけどな」と内心思っている。真面目な牧師は全部説明し直したくなるが、それを始めるとたぶん逃げられる。

でも、そういう「連続ツイートの途中を抜かれたリツイートをされて炎上」というパターンは、ツイッター生活が長い人なら自分で痛い目に遭ったことがあるだろうし、ハタで目撃しては他山の石にしてきたのではないか。この辺りのツイッター的日常茶飯事が牧師たちの説教に応用できるのではないかと思う。

「連続ツイートの途中を抜かれたリツイートされて炎上」というパターンがなぜ起こるのか。私が思い当たるのは、筆者にとっての「連続ツイート」は読者にとってはどうでもいいことで、読者にとっては1ツイート単位でしか決して読みはしないということだ。140字ごとの完結性が求められているわけだ。

これが説教にも応用できそうなのだ。私の一回の説教原稿の長さは「30ツイート」(4200字)ほどだと先ほど書いた。原稿を書く側の人間は「4200字」のすべてでひとつの話だと考えたがっている。しかし説教を聴く側の意識は必ずしもそうではない。だいたい「140字」ずつの単位で聴いている。

一回の説教は「140字×30ツイート」なのだという意識を持ちながら原稿を書くと、聴きやすい説教になるのではないかと愚考する。おそらくその原稿は重複が多い。前のツイートに書いたことを次のツイートで「それ」という指示代名詞で済ませないで、名詞をまた書くと重複が起こる。それでいいのだ。

しかし、日曜日の前に説教原稿をツイッターで流すのはやめておこう。教会に集まる人たちの苦労が否定されていると感じる方がおられる。しかし、ツイッター公式サイトの140字の枠を利用することはできる。枠内に字を書き、切り取り、メモ帳に貼り付けていく。30ツイート分で一回の説教原稿になる。

これもツイッター公式サイトを利用して書いている。140字ずつ。今13ツイート目。あと17ツイートで一回の説教分だ。そう思いながら書けば、ゴールが近く見えるのではないか。朦朧とした意識の中で「あと○ツイート...あと○ツイート...」とカウントダウンしながら書く説教原稿も悪くない。

あとはハイデルベルク説教分析方法を組み合わせると、より高いクオリティを得られるだろうと期待する。1ツイート分140字の「主語」を見てみればよい。どれも「私は」「私は」「私は」になっているようなら、説教者のエゴイスティックなモノローグだ。聴く側の人々のうんざりした表情が目に浮かぶ。