昨日のことですが、わが家に新しい『ファン・ルーラー著作集』(Verzameld Werk)の第二巻が届きました。第二巻のタイトルは「啓示と聖書」(Openbaring en Heilige Schrift)です。昨年日本語版が出版された『キリスト教会と旧約聖書』のオリジナル版(オランダ語版)が収録されています!(日本語版はドイツ語版に基づく重訳です)。また、驚くなかれ、ファン・ルーラーがまだ22才、まだフローニンゲン大学の神学生であった1930年にTaphという名の神学研究会(学生サークル)で行なった神学講演、「神学的認識論における三位一体論的思惟」(Het trinitarisch denken in de theologische kenleer)が収録されています。この講演は次のように始まっています。「神学的認識論において啓示の主観的側面が問われる場合は、次のように問われる。神の御言葉はどうしたら我々へと(tot ons)語られうるものとなり、かつ聴かれうるものとなるのだろうか。人間はどうしたら啓示を認識することができるのだろうか」。このとき意識されているのは、もちろんカール・バルトです。第二巻は全518ページです。編者ディルク・ファン・ケーレン博士の丁寧な解説と厳密な校注がしっかりと付いています。オランダプロテスタント神学大学で「ファン・ルーラー神学講座」を担当なさっているH. W. ドクネイフ名誉教授がこのたびの新しい著作集の刊行を「オランダの国民的事件だ!」と言って絶賛なさったことが伝えられています。評判と期待どおりの最高傑作に仕上がっています。今の私の悩みは「わたしはなぜもっとオランダ語をスラスラ読めないのか。なぜもっと上手な日本語に訳せないのか」ということに尽きます。イライラ焦る気持ちばかり募ります。我々の最重要課題である日本の伝道や教会形成は、安直なハウツー本や(質・量共に)薄くて軽い教理解説書程度のものを読むだけで果たしうるものではありません。私は「日本の伝道と教会形成のためにファン・ルーラーを読まねばならない理由がある」と信じて、(多くの事を犠牲にして)読んでいます。
『ファン・ルーラー著作集』第二巻 収録論文リスト
第一部 啓示論と認識論
神学的認識論における三位一体論的思惟
神学原理(principium theologiae)としての聖書
自然と恩恵
接合点
神学的認識の限定性
自然神学と啓示神学
自然神学の問題のもう一つの側面
第二部 聖書論
聖書の権威と信仰の確かさ
信仰の土台としての聖書
啓示・聖書・伝統(神学的問題としての正典)
聖書論(locus de scriptura sacra)の意義
聖書台としての聖書
聖書の権威と教会
聖書との交わりの形成
第三部 旧約聖書論
アモスとホセア
アブラハムと二十世紀
旧約聖書の意義(1)
新約聖書における旧約聖書論
旧約聖書の意義(2)
旧約聖書の成就
キリスト教会と旧約聖書
第四部 学問的文脈における聖書黙想
開講礼拝説教
開講礼拝説教
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