2017年6月27日火曜日

熱く生きろ!(東京女子大学)

東京女子大学(東京都杉並区)
東京女子大学(東京都杉並区)

ヨハネによる福音書11章32~35節

関口 康(日本基督教団牧師)

「マリアはイエスのおられる所に来て、イエスを見るなり足もとにひれ伏し、『主よ、もしここにいてくださいましたら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに』と言った。イエスは、彼女が泣き、一緒に来たユダヤ人たちも泣いているのを見て、心に憤りを覚え、興奮して、言われた。『どこに葬ったのか。』彼らは、『主よ、来て、御覧ください』と言った。イエスは涙を流された。」

東京女子大学の皆さま、おはようございます。日本基督教団教師の関口康です。千葉県柏市に住んでいます。今日はどうかよろしくお願いいたします。

「熱く生きろ!」というタイトルを付けさせていただきました。初対面の方々に命令形を使うのはアウトだと思いながら付けました。申し訳ありません。しかし私の気持ちとしては「もしよろしければ熱く生きていただけませんでしょうか」です。

どうしてこういうタイトルなのかといえば、今日の礼拝のために私が選ばせていただいた聖書の箇所に、やたら熱いイエス・キリストが出てくるからです。

この場面の説明をします。イエスさまの友人でもあったラザロという男の人が病気になりました。そして、その病気で亡くなりました。墓に葬られました。それから4日も経っていました。

人の死についてお話しするのは慎重でなければならないと思います。私がお話しすることでもし皆さんの中に差し障りがある方がおられるようでしたらどうかお許しください。とにかくはっきりしていたのは、ラザロが亡くなったことは、もはやだれにも疑う余地がない客観的な事実だったということです。

しかし、とても気になることが今日の朗読箇所の少し前のあたりに記されています。イエスさまはラザロが生きていたとき、そろそろ危ないので早く来てもらいたいと連絡を受けてもラザロのところに行きませんでした。ラザロが亡くなったとき、その知らせは届いているのにイエスさまはラザロのところに行きませんでした。イエスさまがラザロのところに行ったのはラザロが墓に葬られて4日も経ったときだったというのです。

それで、ラザロの2人のお姉さんがイエスさまに対してものすごく腹を立てました。名前はマルタとマリア。この2人がイエスさまに激しく食ってかかりました。「あなたがすぐに来てくだされば、弟は死ななかったでしょうに」とまで言いました。

そのように言われてイエスさまがどのように反応したかが今日の箇所に描かれています。「心に憤りを覚え、興奮して、言われた。『どこに葬ったのか』」。そして「イエスは涙を流された」。

こういうのをわたしたちは逆ギレと言うかもしれません。マルタとマリアだけでなく、そこにいた全員がイエスさまに腹を立てていたことが考えられるわけですが、そうしたら今度は逆にイエスさまのほうが腹を立てはじめ、興奮し、泣き出したというのです。

しかし問題はイエスさまが何に腹を立て、興奮し、涙を流したのかです。答えを言います。そこにいたすべての人がラザロの死を動かぬ事実であると固く信じ、あきらめ、泣いていたことに、です。そしてその勢いで、すぐに来なかったイエスさまのせいにしはじめたことに、です。

なぜあなたがたはあきらめているのか、泣いているのか。そのことにイエスさまは憤り、興奮し、涙を流したのです。その後ラザロがどうなったかについては、ぜひ続きをお読みください。

イエスさまがラザロのところにすぐ来てくださらなかったことの理由も言っておきます。ラザロのまわりの人たちに、もっと強く神さまを信じてほしかったからです。客観的に動かぬ事実を前にしても、それでもなお絶対にあきらめないで、人間の力を超えて働かれる神さまを信じてほしかったからです。

私が今日皆さんにお話ししようと思って来たのは、あきらめるのが早すぎる方々への励ましの言葉です。絶対にあきらめないでください。神さまを信じてください。必ず道は開けます。

私には皆さんと同じ世代の子どもが2人います。2人とも就活中の学生です。そして実は私も就活中です。昨年度は高校で聖書を教える常勤講師でしたが、「代用教員」でしたので1年で契約が終了しました。その前の25年は教会の牧師でした。私の願いは、もう一度、教会の牧師に戻ること、または、学校で聖書を教える先生に戻ることです。

同情してもらいたいのではありません。「おじさんも必死で生きています」と言いたいだけです。

私は絶対にあきらめません。皆さんも絶対にあきらめないでください。そして、神さまを信じてください。神さまが、人間には考えられない方法で、とにかくなんとかしてくださいます。

皆さんの将来が明るい希望に満ちたものでありますよう、お祈りいたします。

(2017年6月27日、東京女子大学 日々の礼拝)

東京女子大学(東京都杉並区)

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