本棚の整理が必要だろう |
オランダに13年前の2004年まで、訳せばどちらも「オランダ改革派教会」になるNederlandse Hervormde Kerk (NHK)とGereformeerde Kerken in Nederlands(GKN)という2教団があった。両者は2004年5月1日に合同した。
2007年にオランダで刊行が始まった新しい『ファン・ルーラー著作集』の宣伝文に「ファン・ルーラーは、ノールトマンス、ミスコッテと並び称されるオランダ改革派教会の3大神学者の1人である」と書かれている。その「オランダ改革派教会」は上記2教団のうちの前者NHK(エンハーカー)を指す。
それに対し、1983年に「増補版」が出版された東京神学大学神学会編『キリスト教組織神学辞典』(教文館)に「オランダ神学の三巨頭と言えば、ベルカーワー、ヴァン・ルーラー、ベルコフの三人である」(113頁)と書かれている。日本語に訳すとかえって混乱する可能性があるので、整理が必要だ。
食い違いの理由はベルカウワー(前出「ベルカーワー」)がGKN(ヘーカーエン)の人であるのに対し、ファン・ルーラー(「ヴァン・ルーラー」)とベルコフはNHK(エンハーカー)の人だからである。GKN単独で「3大神学者」を言うなら、今でも「カイパー、バーフィンク、ベルカウワー」だろう。
しかし『ファン・ルーラー著作集』の宣伝文が謳うNHKの「3大神学者」は「ノールトマンス、ミスコッテ、ファン・ルーラー」であって「ベルコフ」はいない。理由はベルコフの年齢がこの3人の神学者より若いからではないかと思う。しかし「4大神学者」とすればベルコフが入るかどうかは分からない。
ちなみに、今書いているオランダの神学者「ベルコフ」は「ヘンドリクス・ベルコフ」だが、日本のキリスト教書店に「ルイス・ベルコフ」というアメリカに移民したオランダ人神学者の著書の日本語版も売っている。この2人の「ベルコフ」は全く別人であり、親戚でもない。このあたりも整理が必要だろう。
それにしても、「NHK(エンハーカー)の3大神学者」(ノールトマンス、ミスコッテ、ファン・ルーラー)を言っても、「オランダ神学の三巨頭」(ベルカウワー、ファン・ルーラー、ベルコフ)を言っても、どちらにも登場してくる「ファン・ルーラー」の存在は、最も際立っていると言えないだろうか。