「だんだんエスカレートする感じ」に訳してみました。
しかし、これはあくまでも「超訳」です。
お叱りの向きもあろうかと存じます。
あらかじめお詫びいたします。
申し訳ございません。
----------------------------------
マタイによる福音書5章27~30節
マタイ著/関口 康「超訳」
聖書の中に「あなたは姦淫してはならない」と書いてますよね。それはどういう意味なのか、みなさんは分かってますか。
聖書に出てくる姦淫禁止の戒めってね、人目を盗んでいちゃいちゃするとか、あやしげな場所に出はいりしてどうのこうのするとか、そういう話だけで済む問題じゃないんです。
はっきりいえば、実際の行為に至るかどうかだけが問題じゃないです。もっと心の問題ですよ。あるいは、人間としてのプライドの問題。人格的尊厳の問題ですよ。人としてどうよという話。そして、自分といつも一緒に生きている家族や仲間たちとの関係性の誠実さの問題です。
たとえばの話ですけどね、まだ結婚してない女の人ならいいという意味ではありませんけどね、でもまあ、それはともかく、結婚している女の人のことを、自分自身も結婚している男どもが、いかにもいやらしい目でじろじろ見てしまう。そういうことを堂々としている時点でアウトなんですよ。
厳しすぎる話だと思われるかもしれませんけどね。でもさ、実際どうなんでしょ。恥も外聞もなく、じとー、でれでれー、みたいな目で女の人を見ちゃって。あなたのその顔、写真に撮っときたいですよ、かなりみっともないよ。なんなら鏡に映して自分のアホヅラ見てみたらいいわ。
そういう目つきというか、顔つきっていうのは、あなたが視線を送っているその女性に対して失礼だし、その女性のご主人にも失礼だし、あなたのおくさんにも失礼なんだよね。
だいたい、その女性が美しさを保つためにどれだけ苦労してるか、そういうこと考えたこともないでしょ。もっとさかのぼって言えばさ、その女性が生まれた日から手塩にかけて育ててきた親御さんたちの苦労だってあるんだよ。美貌は一日にして成らず、ですよ。
そういうことゼンゼン知らないでさ、「人は見た目が9割」とかエラそうなこと言っちゃって。ナニ言ってんの、てめえの見た目はナンなんだよ。少しくらいは恥を知れよ。あんたの存在そのものがセクハラなんだよ、もはや。
そういう、デレデレ目線そのものが、すでに「姦淫」なんです。聖書が言ってることってね、それくらい厳しいことなんですよ。ここ、ちゃんと覚えといてくださいね。
だからね、ぼくは「姦淫」なんか犯してません、そんなことはしてません、ぼくは聖書の教えに忠実に生きてます、文句言われたり責められたりする覚えはありません、とかエラそうなことを言いたい人は、自分の目なんか取っちゃうしかない感じになるんです。
あ、べつに目、ホントに取らなくていいですよ、「それくらい聖書の教えは厳しい」という意味ですよ。聖書の教えをなめてたら痛い目に遭いますからね、間違いなく。
だって、どんなに強く自分に言い聞かせても、きれいな女の人が前を通り過ぎると、その目が勝手に動いちゃうでしょ。目をつぶってもダメですよ、どうしても見たくなっちゃって、どっちか片方の目をつい開けちゃう感じになるんじゃないかな。そうやって片方の目だけで「姦淫」を犯しちゃう。あーあ、やっちまった、ですな。
それでも、「ぼくはやってない。聖書の教えを破ってない」と何がなんでも言い張りたいなら、いっそ、その右目を取っちゃいなよ、と言わなくちゃいけなくなりますよね。そういうある意味で極端な話なんです、ぼくの言いたいことは。
だからさ、目、ホントに取らなくていいですからね。ホラー映画じゃないんだから。ホントに目を取っちゃって、あとで「責任とってくれ。どうしてくれる」とか言われてもね、それは困るよ、ぼくのせいにしないでね。
ちゃんとぼくの言わんとしている意図をくみ取ってほしいわけです。「ぼくは聖書の教えに忠実で、だれからも責められる覚えはありえない」とかエラそうなことを言える人は一人もいないんだよ、ということを言いたいだけです。
まあ、でもさ、目の一つや二つくらい無くなったって、かまいやしませんよ。だって、あんたのその目が美しい女性を自動追尾してしまうわけでしょ。まあそれは、動物的本能みたいなものだよね。本能だから許されるという意味ではないですけどね。「ホルモンが悪さするんだ」とか、ヘンな言い訳してもね、それで許してもらえるかどうかは分かんないですよ。
でも、ぼくら男どもの目の自動追尾機能は、もし解除できるものならしたほうがいいと、ぼくは思うよ。
だって、そのあと、おくさんに叱られて、地獄見て、もう別れるのなんのと、泥沼にはまってしまうことになるんだとしたら、そっちのほうがはるかにたいへんだと思うもん。そっちのほうが、よっぽど痛くて苦しくてつらいから。そんなことになるくらいだったら、目なんかくれてやれ、という話にもなるわけです。そのほうが、よっぽど幸せかもしれませんよ。
まあ、でも、目だけで済めば、まだいいほうですよ。行き過ぎの男どもは、その次に手が出る。危ない橋をわたってしまう。なんで、その手前で踏みとどまれないのかね。はっきり言いすぎかもしれませんけど、アホとしか言いようがない。もうその手、切っちゃいなよ、と言いたいよ。
だって、おくさん、かわいそうじゃん。手の一つや二つくらい無くなっても、地獄を見るよりましだよ。
せっかく結婚したんだからさ、ふらふらしてないで、おくさんのこと、大事にしてあげなよ。ぼくが言いたいのは、それだけのことです。
え、「そんな厳しい話になるんだったら、結婚したくない」? 知らん知らん。そこから先は、もう自分で考えてくださいよ。