2008年8月24日日曜日

アンドリュー・マーレーのこと

アンドリュー・マーレーがユトレヒト大学神学部の卒業生であるとは知りませんでした。

たしかにユトレヒト大学は、ファン・ルーラーが教えた学校です。しかし、1828年生まれのアンドリュー・マーレーと1908年生まれのファン・ルーラーとの間には、80歳の差があるようです。

1837年生まれのアブラハム・カイパーよりもマーレーのほうが9歳年上。これで分かることは、カイパーが43歳の時に自ら開学した「アムステルダム自由大学」(1880年創設)は、マーレーの神学生時代には存在しなかったということです。

また、カイパーやヘルマン・バーフィンクらが初代メンバーとなった「(非国教会系)オランダ改革派教会(GKN)」も存在しませんでした。言い方を換えれば、マーレーの神学生時代に改革派系の主要な牧師養成機関としてオランダに存在したのは、いずれも国立大学であるライデン大学、ユトレヒト大学、フローニンゲン大学の各神学部だけだったということです(たとえばカイパーはライデン大学神学部の卒業生であり、「(国教会系)オランダ改革派教会」(NHK)の牧師になりました)。

この三校のなかで最も古いライデン大学は啓蒙主義やフランス革命などの影響をもろに受けてリベラル化の一途を辿っていたようで、それがカイパーの国教会離脱の最も根本的な動機にもなっていくわけですが、ユトレヒト大学は(他大学と比較すれば)いくらか伝統的な改革派神学を保っていたようです。

19世紀のユトレヒト大学神学部で教えていた教授がどのような人々であったかは、A. ド・フロート編『ユトレヒトの神学四世紀』(A. de Groot (ed.), Vier eeuwen theologie in Utrecht, Zoetermeer, 2001)を読めば分かります。この本を私は持っていますので、そのうち調べておきます。