2008年9月2日火曜日

インターネット時代における「帝王教育」の不可能性

「福田首相辞意表明」のニュースを見ながらもう一つ考えさせられたことは、福田さんが流した涙の原因です。

本来なら、今こそ泣きたいのは、自分の国の首相が突然職務を放棄することで大恥をかいた国民です。それなのに福田さんはまるで自分が被害者でもあるかのように泣き出す。

こともあろうに悔し紛れにひとりの記者をつかまえて、「私は自分を客観的に見ることができる人間である。あなたとは違うんです」。

元首相であった父のもとで受けたであろう何らかの「帝王教育」が、福田さんに極度の自己愛を抱かせたのではないでしょうか。

そう言えば安倍さんも、辞めるとき泣きました。心神喪失状態に陥りました。「お前は他の人間と違う特別な人間である」という自意識を幼い頃から植え込まれていたからではないでしょうか。

しかし、それは、このインターネット時代においてはもはや不可能な自意識であるはずではないでしょうか。

皇室の子どもたちの将来も心配です。自分たちに対する批判的なブログも見たことがないような「帝王」たちは、これからは、無知の謗りを免れないことになりはしないでしょうか。

このインターネットが存在するかぎり、現代社会における宗教と政治の「世俗化」は不可逆的に進行していくでしょう。

この流れを堰き止めることはもはや不可能であると私は考えています。好むか好まざるかにかかわらず、我々はこの「世俗化」に向き合い、かつ付き合っていかざるをえません。