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H. オーステンブリンク=エヴァース氏の博士論文(2000年) |
【オランダ改革派教会 1951年版「教会規程」の研究書】
かなり前にお見せしたことがあるが、オーステンブリンク=エヴァース氏の博士論文『オランダ改革派教会(NHK)1951年版「教会規程」の土台と背景』(2000年)を避けて通れなくなっている。出版後まもなく買ったが、当時の私は日本キリスト改革派教会の教師。NHKとの教団レベルの付き合いがなかった。
当時のNHKは、早い話、日本キリスト改革派教会からすればリベラルすぎて近づけない感じ。2004年にはNHKと、訳せば同じ「オランダ改革派教会」になるGereformeerde Kerken in Nederlands(GKN)と、オランダ王国福音ルーテル教会(ELK)の計3教団が合同して「オランダプロテスタント教会」(PKN)創立。
しかし、今の私は日本基督教団にいる。オランダ改革派教会(NHK)の「改革派」(Hervormd)は「カトリックでもルター派でもない」ぐらいの意味しかなく、非常に広い概念。20世紀のNHKの中に「レモンストラント派」(アルミニウス主義のグループ)がいたりした。NHKの「幅」は日本基督教団に似ている。
今は存在しないので「旧」と付けるべきNHKの1951年版「教会規程」(Kerkorde)の成立過程をオーステンブリンク=エヴァース氏が徹底研究。ナポレオン時代以来手付かずだった古い教会規程を大改訂する委員会に若きファン・ルーラーが属し、「宣教」(apostolaat)の理念を教会規程に明確に位置付けた。
そして、私にはまだ不明な点が多々あるが、その旧NHKの1951年版「教会規程」において、同教団の構造がトップダウン方式から代議員方式へと変更されたり、「戒規」の位置づけが明確になったりしたことが、ファン・ルーラーだけの貢献ではありえないが、彼の果たした役割としばしば結び付けて語られる。
今の日本基督教団の教憲教規のままで十分なのか、問題があるのかは、教団から途中19年も離れていた浦島太郎の私にはよく分かっていない。根本的に見直す必要が生じたときは、オーステンブリンク=エヴァース氏の博士論文は必読書になると思う。オランダ語と法学に強い方にぜひ全訳していただきたい。
私にもできそうなことは資料集め。本を買うことと、本棚に並べることと、背表紙の写メを撮ってSNSで公開することぐらいはできる。それ以上のことは私の役割ではありえない。笑点は落語家さんだけで成立しない。山田くんがいないと。たまに、からかわれて腹を立てて座布団を全部持って行ったりはする。