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2024年6月4日、伊豆大島で撮影。青い海を守りたいですね! |
【ヘドラの記憶】
「ゴジラ対ヘドラ」(1971年)を昨夜初めて観た。私は5歳で幼稚園の年長組だったが、実は岡山で祖母と映画館まで行き、チケットを買って席に座ったが、冒頭3分で直視に堪えなくなって帰ったことをはっきり覚えている。祖母には申し訳ないことをした。それ以来ヘドラはトラウマで、54年間逃げてきた。
何がそんなに怖かったのかがやっと分かった。なんとなく覚えていたが、そのとおりだった。東京湾のヘドロに埋まりながら浮かぶマネキン、古時計、そしてヘドラの赤い目。子どもの頃から目が怖い。実家にあった海外童話シリーズの「ヘンゼルとグレーテル」の挿絵の目が怖くて、あの巻だけ開かなかった。
3分で逃げ出した映画だったので、ストーリーを知らなかった。意外なほど明るかった。若き社会運動家たちが「ゴーゴー喫茶」や富士山麓で「公害反対ゴーゴー」を歌って踊る。なかなかシュール。5歳児には社会派すぎた。その年のクリスマスに洗礼を受けた私だが、ヘドラの恐怖には勝てなかった。
「ゴジラ対ヘドラ」が私のトラウマになった理由は、冒頭の東京湾の描写のせいだけではない。祖母に申し訳ないことをしたという思いが残り続けた。私に手こずったからか、帰り道で祖母が転んで怪我をした。私のせいではないと言ってくれたが、罪悪感がいつまでも抜けなかった。そのヘドラとやっと向き合えた。
それにしても、今年の夏の恐怖すべき異常な暑さは何。もしみんなでゴーゴー喫茶や富士山麓で「公害反対ゴーゴー」を歌って踊れば異常気象が緩和されるなら、ありがたいことだ。そういうのを冷笑したくはない。でも、私は教会で讃美歌をうたうほうがいいと思っている。