このところ落ち着かず、なかなか思うように書けません。先々週は大阪や仙台までの出張がありました。今日も、新幹線で盛岡まで行かねばなりません(日本キリスト改革派盛岡教会の新会堂献堂式です)。
さて、そのようなあわただしい中ではありましたが、10月27日(火)慶應義塾大学で行われた、オランダ国王首相ヤン・ペーター・バルケネンデ氏への名誉博士称号授与式に出席することが許されました。忘れないうちに書きとめておきます。
授与式が行われたのは、バルケネンデ氏が天皇と鳩山首相との会談を行った翌日でした。私がそのような場所に立ち入ることができたのは、法学部政治学科の田上雅徳先生が推薦してくださったおかげです。ファン・ルーラーについての拙文が慶大通信教育部教材誌『三色旗』に掲載されたことを労っていただいた格好です。
しかし、もちろん、慶大からの正式な招待状をいただき、IDチェックを受けたうえで入場させていただきました。会場の慶大三田キャンパスには、どれだけいるか分からないほど大勢の私服警官たちが、鋭い目で見張っていました。
その授与式には、『三色旗』の同じ号に素晴らしい論文をお書きになった、千葉大学法経学部の水島治郎教授も出席しておられました。水島先生、初めてお目にかかれてうれしかったです!
そのバルケネンデ氏が授章のあいさつとしておっしゃったことは、特筆すべきものでした。かなり流暢な英語で能弁なスピーチをなさいましたが、もしタイトルをつけるとしたら、「アブラハム・カイパーと福澤諭吉」(!)と付けても良さそうな話でした。
カイパーが設立したアムステルダム自由大学はバルケネンデ氏の母校でもあります。また、カイパーが設立したキリスト教政党「反革命党」は、バルケネンデ氏の所属政党(現在のオランダ与党)である「キリスト教民主党」の歴史的ルーツでもあります。
そのようにバルケネンデ氏の存在と歴史的に関係が深いアブラハム・カイパーと、慶應義塾大学の創設者福澤諭吉氏との共通点を、バルケネンデ氏は熱心に語られました。「なんかスゴイことになってきたなあ」と、まるで我がことのように感激しました。
私は、現在の慶大教授会の政治学専攻の先生の中でアムステルダム自由大学で学んだ経験を持っておられるのは田上先生だけではないかと思いましたので、「いよいよ田上さんの時代が来ましたねえ」と肘でつついたら、怖い顔で睨み返されました。田上先生があの顔をするのは「望むところだ」と武者震いしておられるときだと、勝手に解釈しております。