2011年2月3日木曜日

G. C. ベルカウワー著『教義学研究』

アムステルダム自由大学神学部で長く教鞭をとったヘリット・コルネーリス・ベルカウワー(Dr. Gerrit Cornelis Berkouwer [1903-1996])の『教義学研究』(原題Dogmatische Studien)は、同神学部における教義学講座の開設者であったアブラハム・カイパーやカイパーの同僚のヘルマン・バーフィンクらの基本路線(新カルヴァン主義)を受け継ぎながらも、ベルカウワーと同世代の諸外国の神学者、なかでもカール・バルトをはじめとするスイスやドイツの弁証法神学者たちの神学に強い関心を寄せ、両者(新カルヴァン主義と弁証法神学)の関係を明らかにした労作であると評することができます。そのため、ベルカウワー自身の独自の神学が豊かに展開されているとは必ずしも言えず、その面での物足りなさを感じる向きがあるかもしれませんが、とりわけ歴史的・伝統的な改革派神学の立場に立つ者たちにとっては、自分たちの伝統路線にただあぐらをかくことで事足れりとせずに(当時の)新しい時代における新しい神学的発想と正面から向き合い、どの点は受け入れることができ・どの点は受け入れることができないかを明らかにしようとしたベルカウワーの真摯な姿勢から学ぶべきことは多いでしょう。



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(上は原著オランダ語版、下は英語版。どちらも左から以下のタイトル順に並んでいます。)



一般啓示          De Algemene Openbaring/ General Revelation
聖書             De Heilige Scrift (I-II)/ Holy Scripture
神の選び          De Verkiezing Gods/ Divine Election
神の摂理          De Voorzienigheids Gods/ The Providence of God
神の似像としての人間  De Mens het Beelds Gods/ Man: The Image of God
罪              De Zonde (I-II)/ Sin
キリストの位格       De Pesoon van Christus/ The Person of Christ
キリストの御業       Het Werk van Christus/ The Work of Christ
信仰と義認         Geloof en Rechtvaardiging/ Faith and Justification
信仰と聖化         Geloof en Heiliging/ Faith and Sanctification
信仰と堅忍         Geloof en Volharding/ Faith and Perseverance
教会             De Kerk (I-II)/ The Church
キリストの再臨       De Wederkomst van Christus (I-II)/ The Return of Christ



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(上は『神の選び』の表紙、下は同書第一章の冒頭個所。同書の各章タイトルは以下のとおりです。)



第一章 考究の限界             De Grens der Bezinning

第二章 教理史の視点           Dogmahistorisch Perspectief

第三章 神の選びと自由意志       Verkiezing en Willekeur

第四章 神の選びと隠匿性         Verkiezing en Verborgenheid

第五章 キリストにおける神の選び    Verkiezing in Christus

第六章 神の選びと遺棄          Verkiezing en Verwerping

第七章 神の選びと説教           Verkiezing en Prediking

第八章 堕落前予定説と堕落後予定説 Supra- en Infralapsarisme

第九章 神の選びと救いの確かさ     Verkiezing en Heilszekerheid

第十章 大きな誤解             Het Grote Misverstand