2008年10月8日水曜日

今年は「ファン・ルーラー生誕百年」です

「忙しい」という言葉をできれば口にしたくないのですが、そうであると言わざるをえない状況が(あいかわらず)続いております。今年は「ファン・ルーラー生誕百年」として過ごしておりますが、その中でのファン・ルーラー研究会としての小さな働きを紹介できる運びになりました。



(1)日本基督教団改革長老教会協議会の季刊『教会』誌の最新号(第69号、2008年秋号)より、牧田吉和先生の訳によるファン・ルーラーの論文「キリスト論的視点と聖霊論的視点の構造的差違」の連載が始まりました。



この論文は、ドイツの説教学者ルードルフ・ボーレン先生の主著『説教学』の「第4章 聖霊」において大々的に取り上げられたことによってファン・ルーラーの名を世界的に知らしめたものです。「キリスト論的視点」と「聖霊論的視点」の区別は、厳密な組織神学的方法論において整理されたものとしてはファン・ルーラー自身が「発見者の喜び」をもって見出したものであり、現代神学に一種のコペルニクス的転回をもたらしたものであると評してよいものです。もちろん、ファン・ルーラーに反対する人々はまさにこの点(そのような区別ができるのかという点)に異論を唱えることが多いのですが、それはともかく、この論文におけるファン・ルーラーの主張を無視して現代神学について語ることは、今や不可能というべきです。そのような非常に重要な論文の全訳がこのたび公開されはじめたことを心から喜ぶと共に、多くの反応を期待しています。ご労力くださっている牧田吉和先生に、格別の感謝を申し上げます。



(2)今月10月1日発行の神戸改革派神学校紀要『改革派神学』の最新号(第35号、神戸改革派神学校創立60周年特別記念号)に、拙論「説教・教会形成・政治参加、そして神学――A. A. ファン・ルーラーの『教会的実践』の軌跡――」が掲載されました。



この論文は、昨年9月10日のファン・ルーラー研究会第5回神学セミナー(於日本基督教団頌栄教会)で私が行った研究発表「伝道と教会形成、そして神学」に大幅な加筆修正を施してまとめ直したものです。私のものはともかく、『改革派神学』最新号には優れた論文が多く掲載されています。組織神学関連では、市川康則校長の「エミール・ブルンナーの弁証的、宣教的神学」と、石原知弘先生の「オランダ改革派神学における敬虔の意義」は、必読の論文です。一冊1,800円です。どなたもぜひお買い求めくださいますよう、お願いいたします。



今年の前半は心身ともに疲れや弱りを覚えていましたが、このところかなり元気を回復しております。牧田先生からは「集中力を高めよ」と叱咤激励をいただきました。本当にそのとおりと、ありがたいお言葉に感謝しています。