2010年3月7日日曜日

世界不況の中での高校受験を体験して思うこと

このところブログを全く更新できませんでした。



その理由は私だけが知っています。人生と仕事をサボっていたわけではなく、「すべて終わるまでは決して書くべきでないこと」に必死で取り組んでいました。



種明かしをすれば、長男が高校受験でした。同年齢の子どもさんをお持ちの方々にはご理解いただけると思いますが、今年は「激戦」の一言でした。長男自身からは終始鬱陶(うっとう)しそうな目で見られていましたが、まるでステージママ(パパですが)のごとく、舞台袖から固唾を呑んで見守るばかりでした。



「激戦」となった原因はいろんな人が分析中ですが、ともかく明白なことは一昨年に始まった世界不況の影響です。公立単願者が激増しました。「公立高校無料化」の政策が突然打ち立てられたことの影響も当然ありました。家庭の経済事情との関係で「ゼッタイ公立」と厳命された子どもたちは安全の上に安全を期する必要がありました。そのため多くの子どもたちが一つないし二つ以上ランクを下げて受験せざるをえませんでした。それでも長男の中学校などでは、進路指導の教師から保護者全員に「今年は公立単願は非常に危険なので、私立を必ず一校以上併願してください」と強く勧められる事態でした。ランクを下げての受験を潔しとしない子どもたちは、自分(や塾)の願いと親や学校の願いとの板挟みの中で激しく苦しんだはずです。何年も前から(「民主党政権」など影も形も見えていなかった頃から)高い目標をめざして努力してきた子どもたちの立場からすれば、状況の変化(オトナの都合)を理由にランクを下げ(させられ)ること自体に大きな挫折感が伴わないはずがないわけですから。



長男が受験した公立高校は、志願者数が昨年比でプラス216名(!?)という驚異的な数字となり、県内最大の上げ幅でした。受験倍率も、特色化選抜3.19倍(昨年2.60倍)、一般選抜1.97倍(昨年1.57倍)でした。六年前(2004年4月)に県外から松戸市に引っ越してきたばかりの者には知る由もないことでしたが、ここしばらく人気や進学実績等が低迷していた同校は昨年あたりから(「リーマン・ショック以後」と断定してよさそうです)「人気校」としての復活を遂げたと、もっぱらの噂です。もっとも、わが家の場合は「自転車で通える公立高校」という条件を言い渡していただけなのですが。



「不況によって復活した」などと直接的もしくは短絡的に関連づけますと、同校関係者の方々には失礼に当たるかもしれません。しかし、言うまでもないことですが、「志願者数や受験倍率が激増した」ということは裏返せば「不合格者数も激増した」ということでもあるわけで、つまり、合格した子どもたちのほうも必ずしも手放しで(自分の結果さえ良ければよいという調子で)喜んでいるわけではないということでもあるのです。多くの親友たちの痛みを知る機会にもなりました。



その意味では、同校が「不況によって復活した」ということが事実であるとするならば、「不況の痛みの中にいる人々の心を深く理解することができ、かつ現代日本の社会問題に真剣に取り組むことができる人材を輩出する学校」になってほしいと願っています。



教会も同じであると考えています。不況の只中で「どこ吹く風」と言わんばかりに超然とした態度をとり続けるような教会はたぶん「教会」ではないのです。少なくとも「改革派」教会ではないと私は思う。特に(私自身を含む)子育て中の若い牧師たちは、見るからに草臥(くたび)れ果てているくらいで、ちょうどよいのです。